夏屋彩園

ゲームと文具と飯の話が多い

The Red Strings Club感想 無数に張り巡らされた糸、結末はひとつだけ

先日、大好きなゲームとしてTOX2の記事を書いた。「プレイヤー自身が」選択した上で主人公が辿り着く結末を見届ける、そんな体験が鮮烈な印象を刻む傑作ゲームだ。
しかしながら今回感想を書くのは、そういった趣向とは逆の……プレイヤーがどれだけ途中の選択を工夫しようと結末の変わらないゲーム。

それがこの「The Red Strings Club」という作品だ。ジャンルとしてはアドベンチャーに入る。クリアにかかる時間はおそらく3時間前後くらいだと思う。ボリュームとしては軽めの部類に入る作品だ。2Dドットで表現されているので、あまりスペックの高くないPCでも動くんじゃないだろうか。


舞台はサイバーパンクな世界、レッド・ストリングス・クラブというバーを中心に物語は進んでいく。お酒を巧みに使って人の感情を操り話を引き出すバーテンダー・ドノヴァン(40)と人の意識に潜れたりするニューラルハッカー・ブランダイス(24)が巨大企業の陰謀を粉砕すべく奔走する……といった物語が繰り広げられる。
この巨大企業の陰謀というのは平たく言ってしまえば「人間から負の感情を消し去って完全な幸福を実現する」というもの。ドノヴァンたちはこれは洗脳と大差ないものであるとして止めようとする。


先ほど結末の変わらない、と書いたがこの物語はまるっきり「一本道」かというとそうではない。道中の操作によってプレイヤーが手に入れられる情報は異なるし、フローチャート画面はまるで幾重にも張り巡らされた真っ赤な糸のよう。おそらく何も見ないでプレイしていたら人によってフローチャートの形は異なるものになると思う。
だがしかし、辿り着く結末「だけ」は1つなのだ。加えて言うのなら、結末だけは最初から提示されている。どうしてこの結末に辿り着いたのか?を紐解いていく物語になっているのだ。
なぜこのような結末を迎えるのか?ということも勿論解き明かしていかなければいけないし、プレイヤーはその上で幸福というものの在り方も考えることになる。


外的処置によって苦痛を消し去って、完全に幸福な世界を実現する――
この物語の主軸として描かれているのは所謂「答えのない議論」にあたるものだ。読み終わったとてハッキリとした答えが出るタイプのものではない。だから、白黒ちゃんとつく物語がお好きな方にはややオススメできないが、読み終わった後に終わった物語に想いを馳せ、色々と考え込むのが好きな人には是非ともプレイしてみて欲しい。

 

ちなみにこれを書いているタイミング(7月8日)ではサマーセールで8割引きになっている。もし逃してしまっても定期的にセールになっている作品なので、ウィッシュリストに入れておいて次回セールのタイミングで購入するのもありだろう。

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